2017年1月1日から特定の医薬品購入に対する新しい税制、セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)が始まりました。
きちんと学んで節税しましょう。
目次
- セルフメディケーション税制とは
- スイッチOTC薬とは
- どれだけ節税できるのか
- セルフメディケーション税制の対象となる人は
- 従来の医療費控除との併用はできるか
- どうやって申請するのか
- 確定申告時に必要なもの
- 最後に
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セルフメディケーション税制とは
「セルフメディケーション税制」は、健康診断などを受けている人が一部の医薬品(スイッチOTC薬)を購入した際に、所得控除を受けられます。
セルフメディケーションとは自己治療、自主服薬を意味し、自分自身で傷病・症状を判断し、医薬品を使用することを指します 。
※所得控除とは
税金を計算する際に所得から控除することができるもの(課税されないもの)。所得から差し引いてもらえるもの。
スイッチOTC薬とは
「スイッチOTC薬」とは、もともと病院で処方箋を受けなければ手に入らなかった医薬品が、一般薬としてドラッグストアなどでの販売が許可されたものです。
OTCは Over The Counter(カウンター越し)の略称で、OTC薬はドラッグストアなどで販売されている医薬品を指します。
セルフメディケーション税制の対象となる「スイッチOTC薬」は、厚生労働省のWebサイトに掲載されている医薬品です。
(2017/1/17現在、1577品目)
セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について |厚生労働省
対象となる医薬品の多くには、このようなマークが付けられています。
義務化されていないため、対象となる医薬品でもマークが付いていないものがあるので注意して下さい。
楽天市場やアマゾンなどで「セルフメディケーション税制対象商品」と検索すると、対象となる医薬品が表示されます。
対象医薬品の一部を紹介します。
・風邪薬 ベンザブロックLプラス
・鼻炎・花粉症 アレグラFX
・鎮痛・解熱 イブA錠
・胃腸薬 新セルベール整胃
・外用消炎剤 サロンパスEX
・虫さされ 液体ムヒアルファEX
・肩こり・腰痛・眼精疲労 アリナミンEXゴールド
どれだけ節税できるのか
セルフメディケーション税制では、1年間(1月1日~12月31日)に世帯で購入したスイッチOTC薬の購入額合計が税込12,000円を越えるとき、その越える部分の金額(上限88,000円)について総所得金額から控除することができます。
所得400万円の人が対象医薬品を2万円分購入した場合
どのくらい節税できるのか、例をあげて説明します。
課税所得400万円の人が、対象医薬品を年間で税込20,000円購入した場合。(購入金額には扶養している家族の分を含む)
所得控除額:8,000円(購入金額20,000円ー下限額12,000円=8,000円)
減税額:所得税 1,600円の減税(控除額8,000円×所得税率20%=1,600円)
:個人住民税 800円の減税(控除額8,000円×個人住民税率10%=800円)
所得税と個人住民税を合計して、2,400円の節税になります。
ちなみに所得税と住民税の税率は以下の通りです。
- 所得税率=所得金額に応じて異なる(5~45%)
- 個人住民税率=一律10%
日本一般用医薬品連合会「知ってトクする セルフメディケーション税制」では、簡単に減税額が計算できます。
セルフメディケーション税制の対象となる人は
以下の条件を満たしていると、セルフメディケーション税制の対象となります。
◇所得税・住民税を納めている
◇健康の保持増進及び疾病の予防への取組(一定の取組)を行っている
下記のいずれかの取組を行う必要があります。
- 特定健康診査(いわゆるメタボ検診)または特定保健指導
- 予防接種
- 定期健康診断(事業主健診)
- 健康診査
- がん検診
例えば、2017年のOTC医薬品の購入費用で申告する場合、2017年1月から2018年1月までに上記のいずれかを受ける必要があります。
※申請者が任意に受診した健康診査(全額自己負担)は「一定の取組」に含まれません。
◇1月1日~12月31日の1年間に、対象となるスイッチOTC薬を購入した合計額が12,000円を超えている
納税者本人と扶養している家族が購入した対象医薬品の合計が12,000円を超えている場合、対象となります。
年間12,000円と聞くと多そうですが、1ヶ月平均1,000円。
従来の医療費控除は1年間に10万円を超えないと対象とならないので、この特例はハードルがグッと低くなっています。
従来の医療費控除との併用はできるか
従来の医療費控除とは併用できません。
医療費控除とセルフメディケーション税制のどちらかを利用するのか、自身で選ぶ必要があります。
どうやって申請するのか
セルフメディケーション税制は、医療費控除と同じく確定申告が必要です。
2017年(1月1日~12月31日)にOTC医薬品の購入費用が12,000円を超える場合は、翌2018年に確定申告ができます。
所得税の一般的な確定申告期間は、2月16日~3月15日。
申告することで所得税の所得控除が受けられるようになります。
国税庁のサイトには確定申告書等作成コーナーがあり、画面の案内に従って金額等を入力することにより、 確定申告書を作成できます。
電子申告等データを作成しインターネット上で送ることや、プリントアウトして税務署へ提出することができます。
確定申告時に必要なもの
セルフメディケーション税制の対象となり所得控除を受ける場合、必要な書類があります。
◇対象医薬品の「購入レシート」または「領収書」
ドラッグストアなどで市販薬を購入した際のレシートや領収書は、必ず捨てずに保管しておきましょう。
レシートまたは領収書には、以下の5つが明記されていることが必要です。
- 商品名
- 金額
- 当該商品がセルフメディケーション税制対象商品である旨
- 販売店名
- 購入日
この5つが明記されていれば、レジで発行されるレシート・手書きの領収書どちらでもOKです。
なお、感光や文字のかすれなどで確認が難しいレシートは無効となります。
「当該商品がセルフメディケーション税制対象商品である旨」の明記について、レシートの記載方法は2つあるようです。
- 対象商品のみの合計額を分けて記載
- 商品名の前に★マークなどを付け「★印はセルフメディケーション税制対象商品」などと記載
◇健康診断や予防接種などを受けたことを証明する書類
本人(申請者)のみ健康診断などを受けたことを証明する書類が必要です。
家族の分は必要ありません。
また、結果通知表はコピーの提出でOKです。
健診結果部分は不要なので、黒塗りまたは該当部分を切り取って下さい。
定期接種・インフルエンザワクチンの予防接種 ⇒ その予防接種の領収書(原本)または予防接種済証を提出
市町村のがん検診 ⇒ 領収書または結果通知表を提出
会社の健康診断 ⇒ 結果通知表を提出
※結果通知表に「定期健康診断」または「勤務先(会社等)」の記載があること
特定健康診査 ⇒ 領収書または結果通知表を提出
※領収書、結果通知表に「特定健康診査」または「保険者名」の記載があること
定期健康診断・特定健康診査・人間ドックなどの健康診査 ⇒ 結果通知表を提出
※常時使用される労働者の方:結果通知表に「勤務先名」または「保険者名」の記載があること
※上記以外の方:結果通知表に「保険者名」の記載があること(A市国民健康保険などの記載。 単に市町村名のみ記載はNG)
最後に
セルフメディケーション税制は、とても身近で知らないと損をする特例です。
医療費控除とセルフメディケーション税制、どちらを選ぶにしてもレシートがないと始まりません。
医薬品のレシートは大切に保管しましょう。
参考サイト