ブーさんとキリンの生活

倉庫の2階でひっそり暮らす

心が引き込まれる画家 マーク・ロスコ

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10代の頃から私にとって特別な画家、マーク・ロスコ


久しぶりに本棚から画集を取り出したら、表紙が随分痛んでいました。
若い頃によく見ていた証です。


10代から20代にかけて刺激を求め、美術・ダンス・演劇などを観ていました。

ロスコの作品を初めて間近で見たのは10代の終わり。
「○○コレクション」などという、多くの美術作家の作品が集められた展覧会。
その展覧会には、何人か気になっていた作家の作品が出品されていました。
ロスコの他に、当時大好きだったジャコメッティの彫刻があったのを憶えています。

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ロスコといえば、四角の画面の中に四角で塗り分けられた色彩。
印刷物で見る限りでは強く何かを感じるわけでもなく、当時はよくある抽象画の1つと認識していました。


展覧会の会場に行くと、統一性がなく騒々しい作品の並びの中に、私の身長よりも大きな150号か200号くらいの暗い緑の画面。

画面の前に立つと、私は深緑の霧に包み込まれました。

絵の具が細かい粒子となって画面から出ているような感覚。
空間のざわつきから1人隔離され、静謐な森の奥にたたずんでいるようでした。


初めての感覚。
絵だけど絵じゃない。
画面を見るというよりその作品が作る空間を感じる。
作品の中に自分が取り込まれていく。


それから私は、ロスコの作品を感じるために美術館や展覧会に足を運んだり、感覚を思い出すきっかけとして画集を買いました。

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1970年、ロスコは66歳で自ら命を絶ちました。

最晩年に制作された作品は、黒く重く冷たい。
鉛のよう。
作品の前に立つ私の心まで重く冷たくなる。

会場を出て自宅へ戻ってもその冷たさは消えず、心に影を落としました。


久しぶりに画集を見ると、初めて作品を見た時の静けさより最晩年の寂寞感を強く感じます。
今の自分を守るため、画集を手に取ることは当分ないでしょう。