ブーさんとキリンの生活

倉庫の2階でひっそり暮らす

30年振りに聴いた母のお琴

母とお箏

「しゃしゃてん…」

実家に再び お琴の音色が響くようになりました。

 

若いころ、お琴を習っていた母。

私が小学生のころまでは、自宅で時々弾いていました。

その後、祖父母の介護で自分の時間がなくなり、

お琴は部屋の隅でホコリをかぶったままに。

母のお琴はもう聴けないのだと、少し寂しく思っていました。 


昨年の秋「お琴の糸を張り替えて、また弾き始めたの」と、うれしい知らせ。

帰省した際に、懐かしい母のお琴を聴かせてもらいました。

 

まずは、調絃(ちょうげん)

調絃

お琴、正しくは お箏。

(じ)と呼ばれる駒の位置を調節して、音の高さを合わせます。

エプロン姿で「結構、力が必要なのよね」と糸をひっぱり、柱を立てる母。 

柱を立てる母

音程を合わせるのは記憶と耳が頼り。

何度も音を確認しながら平調子に調絃します。

不思議なことにお箏を習ったことがない私も、

もっとも基本的な平調子の音階だけは耳が憶えていたようです。

「もう少し高い方がいいね」などと撮影しながら話していました。

平調子

13本の糸すべてに柱を立て終え、音程を再確認。

「とりあえず、こんな感じかな」と爪を付け始めました。 

 

2つの流派 生田流と山田流

山田流の丸爪

お箏の流派には、主に生田流(いくたりゅう)と山田流(やまだりゅう)があります。

外見上の主な違いは「爪の形」と「構える姿勢」。

  • 生田流:角爪。爪の角を有効に使うためお箏に対し左斜め約45度に構える。
  • 山田流:丸爪。正面に構える。

「現代音楽を弾いたりするのは生田流が多いね。50年前も教室は生田が多かったよ」 

母はお箏教室に通うまで、流派について何も知らなかったそうです。

近所の先生が山田流だったから、という理由で今でも山田流。

 

六段の調(ろくだんのしらべ) 

六段の調

BGMでもよく使われる、八橋検校作曲の「六段の調」 。

母は昨年、一番好きなこの曲で練習を再開しました。

「今はここまでしか弾けないなぁ…」と途中まで。

楽譜と動画を見て勉強し、最後まで弾けるようになるのが現在の目標です。


山田流の演奏動画 ⇒ 筝曲 六段の調 増渕陽子

 

音程の微調整 

音程の微調整

「何かちょっと気になる…」と 、音程の再確認。

うんしょ、うんしょと柱の位置を微調整しました。

 

さくら変奏曲

さくら変奏曲

宮城道雄作曲の「さくら変奏曲」を少し弾いて、音程の確認をしながら指慣らし。

変奏曲のもととなった「さくら」は、幼いころ唯一母に教えてもらった曲です。

七七八 七七八 七八九八七ころりん…

30年以上経った今でも憶えていることに、自分でも驚きました。

 

生田流4名による演奏動画 ⇒ Japanese Koto さくら変奏曲/Sakura hensokyoku

 

乱輪舌(みだれりんぜつ)

乱輪舌

略して「みだれ」と呼ばれる八橋検校作曲の「乱輪舌」

お箏にかかわる人であれば 知らない人はいない、名曲中の名曲。

速く激しく複雑で 弾きこなすのがとても難しいそうです。

「最初は六段の調に似ていると思ったけど、難しくて大変なんだよ」。

乱輪舌の楽譜

とても長い曲。

私は楽譜を見るだけで気絶しそう。

母の最終目標は「乱輪舌」を再び弾けるようになることです。 

「まだまだ先は長いなぁ…」


生田流の演奏動画 ⇒ みだれ(作曲 八橋検校)

この動画を見て「わぁ、すごい!」と母は目を輝かせていました。

 

お箏で若返り?

母のお箏

お箏を再び弾くようになって、

母は長い間忘れていた若いころの出来事を思い出しました。

お茶席や市民会館で演奏したこと、尺八とともに「春の海」を演奏したこと…。

YouTubeでお箏の動画を見ては先生と練習した曲を思い出したり、

指の動かし方をチェックしたりと、とても楽しそうです。

お盆に帰省した時よりも生き生きとしていて、若返ったようでした。

できるだけ長く母がお箏を楽しめるように、サポートしていけたらと思います。