夕空を見ていると、中学時代の放課後を思い出します。
私は丘の上にある中学校で、吹奏楽部に所属していました。
放課後、人が少なくなった教室。
楽器を吹きながら、いつもぼんやりと外を眺めていました。
運動部は熱心に体を動かし、盛んに声を出しています。
陸上部の女子は練習後、男子に告白している様子。
「すごいな」と思いつつ、空に向かってプーーーーとロングトーン。
日はさらに落ち、夕空に金星が見えます。
あまりに大きく光る金星に「あれはUFOじゃない?」と言い出す友人。
「それにしては全然動かないね」と、メトロノームの速さを変える私。
夕空を写真におさめたくて、先生に見つからないようインスタントカメラを持ち込みました。
何度かチャレンジしたけれど、目で見た色をフィルムに写すことは至難の業。
毎日変わるグラデーションの夕空を見ながら、来年の今頃、10年後の今頃、私はどこで何をしているのだろうかとよく考えました。
思春期の期待と不安の入り混じった感情を、夕空を見ると思い出します。
あれから時がたち、様々な経験をすることができました。
あのころ期待していたような人生にはなっていないけれど、こうして夕空を見上げる幸せな生活を送っています。