夫のブーさんと出会い、1つの言葉を知りました。
それは、夫が大好きな「絶景露天」。
湯船の前に絶景が広がり、自然と一体になれる露天風呂。
そこに入ると悩み事から解放され、身も心もほんわり温まります。
初めて夫から「絶景露天」を教わったとき、私は病気療養中でした。
毎日7回薬を飲み、生きているだけで精一杯。
そんな時、当時お付き合いしていた夫に誘われて、きれいな川のほとりにある温泉へ行きました。
若葉が芽吹いた春のはじめ、露天風呂はもえぎ色に染まっていました。
澄みわたる川の流れ、やさしく淡い春の緑、私を包んでくれるやわらかい温泉。
病気になって8年、初めて心の底から「生きててよかった」と思いました。
「オレはこういう絶景露天が好きなんだ」
夫はにっこりほほ笑んで言いました。
あれから夫と、いくつか素敵な露天風呂を巡りました。
それでも「絶景露天」という言葉とともに思い出すのは、あの春に入った、川のほとりの露天風呂です。