埼玉の田園風景の中に突如出現する台湾、聖天宮(せいてんきゅう)をご紹介します。
親戚の用事で、埼玉県坂戸市へ車で行きました。
「坂戸」という地名なのに坂が全然ないなと思っていると、畑の中に怪しい屋根。
どう見たって日本じゃない。
帰りは違うルートを予定していましたが、急遽変更。
奇妙な屋根の建物へ立ち寄ることにしました。
目次
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謎の建物と天女
お寺?お墓?アレは何?と夫婦で話しながら車を駐車場へ。
ドラの音が聞こえてきそうな旗。
中華街的なもの?
通りかかった時に見た怪しい屋根はすごい迫力。
門の内側では、天女のようなお姉さんが写真撮影中です。
こちらのマスコット的存在でしょうか。
一人300円の拝観料金を支払って中へ入ります。(中学生以下・障がい者無料、団体割引あり)
門に置かれた狛犬のような像から、力強い視線を感じます。
狛犬よりも沖縄のシーサーと似てるかな。
シーサーの親分?
いただいたパンフレットによると、ここは道教のお宮「聖天宮」だそうです。
聖天宮は、中国台湾三大宗教(仏教・道教・儒教)の一つ、「道教」のお宮です。
日々の道徳を重んじ、善行に報いる最高神「三清道祖」が本尊として祀られています。
開祖は台湾出身の康國典大法師です。聖天宮パンフレットより引用
私たちは「天門」の左端から入場しました。
こちらは「前殿」。
天女のようなお姉さんが気になります。
「前殿」と「鼓楼」の屋根には、たくさんの龍。
色も形も中国風です。
異世界とコスプレお姉さん
建物に入る前に、素敵な庭園「外苑」へ行くと、不思議な格好のお姉さんたち5、6人と大きなカメラを持った男性が。
ここでやっと、コスプレの撮影をしていることに気付きました。
外苑から見る「鼓楼」。
埼玉とは思えない風景です。
ゲームやアニメのキャラクターの格好で撮影しても、ここなら違和感がありません。
聖天宮の公式サイトには、コスプレ撮影ついての説明があります。
参加ルールなど、とても細かく書かれていてビックリ。
神社なので、露出が多い格好・へそ出しは禁止。
男性の女装も禁止です
※マギのジュダルは補正すればOKです。
マギもジュダルも私にはわかりませんが、コスプレに理解のある聖天宮。
エアコンと鏡のある更衣室まで用意されています。
(2019年11月現在、上の文章は削除されています)
調べると、聖天宮で撮影されたコスプレ作品がたくさんありました。
聖天宮は異文化どころか、異世界ですね。
2.5次元?
トイレの入り口にも可愛いお姉さんが。
隅々まで手を抜かないところが素晴らしいです。
台湾のお宮がなぜ埼玉に?
ここでもう一度、境内の案内図を見てみましょう。
次は中庭を通り、奥の「本殿」へ向かいます。
本殿は、装飾だけでなく空気の密度も濃い感じがします。
恐れ多くて、建物の中は撮影できませんでした。
本殿の中には、ご本尊や聖天宮について説明して下さる方がいらっしゃいます。
聖天宮建て主は康國典大法師。
四十歳半ばにして不治の大病を患い、ご本尊「三清道祖」と縁起をもたれたのを期に一命をとりとめ、完治されました。
深謝の念と、何人にも神様のご利益にあやかれるお宮を建てたく建造の地を探していたところ、
なんと生国の台湾ではなく日本国のこの地にとお告げを授かりました。
聖天宮の名、佇まいや方角もお告げがあり、
当時、正面の道、最寄の若葉駅もなかった雑木林のこの地を一から整地し昭和五十六年より着工に至りました。
台湾の一流の宮大工を呼び寄せ、十五年を掛け、平成七年に聖天宮を開廟しました。
聖天宮パンフレットより引用
まさかの神のお告げ。
神様はなぜ、日本、それも埼玉県坂戸市を選んだのでしょう。
まさかコスプレ撮影に使われるとは予想していなかっただろうなぁ……。
聖天宮の近くには戸建住宅やマンションもあるため、反対運動とかなかったのかな?と、夫と話していました。
雑木林の整地から始めたのなら、住宅よりも聖天宮が先だったのかもしれませんね。
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ここは美術館?博物館?ドラゴンボール?
こちらは、本殿の入り口にある「龍鳳柱」。
台湾の「観音石」の一本柱を彫って作られているそうです。
その高さ5m。
あまりの迫力に『うわー……』と二人で固まってしまいました。
こちらは、本殿の前に置かれた「九龍網(きゅうりゅうもう)」。
折り重なった九頭の龍が1枚の岩に彫られています。
「九」とする九頭の龍は、万物を網羅する神様の威厳を表し、また永久の「久」として縁起のよい数でもあります。
龍は神様の使いの中では一番力が強く、天変地異を引き起こすとされています。
(中略)
龍の爪の数にも意味があり、五爪を持つ「五爪龍(ごそうりゅう)」は最強であります。皇帝の時代には龍の爪の数は厳格に制限され、許可なく龍を用いることは死罪を伴いました。
ちなみに、日光東照宮の「鳴き龍」は三爪であり、中国明王朝に対しての配慮と云われています。
説明板より引用
最強の「五爪龍」の右手には、龍玉(りゅうぎょく)が握られています。
ちなみに、ドラゴンボールの神龍はイラストで見る限り四爪です。
こちらは本殿の隣にある「客庁」です。
螺鈿が施されたテーブルと椅子。
隅々まで作りこまれた完成度の高い空間。
ここは祈祷待合室らしく、『椅子にお座りいただけます』との説明がありました。
夫婦で腰掛け、『うわー……』と言ったまま、また固まってしまいました。
願いが叶う 鐘楼と鼓楼
前殿の東には「鐘楼」、西には「鼓楼」が建ち、それぞれ建物の上部に陽鐘と陰鼓があります。
陽鐘と陰鼓は、「陰陽」「始まり、終わり」を意味しています。
東の「鐘楼」
「鐘楼」の内部に掛けられたおじいさんの絵。
ご本尊なのでしょうか?
やわらかく穏やかな表情に魅了されました。
強い「陽」の力を感じる陽鐘の下で 赤い布「陽紅布」に抱負を書くと、適える勇気を授かります。
鐘楼の中に掛けられた陽紅布を見ると、
「宝くじが当たりますように」「10億円当てるぞ!」
色々な抱負が書かれていて、神社の絵馬のようでした。
鐘楼の屋根には、鳳凰の姿が。
羽が一枚一枚タイルで作られています。すごい迫力。
鐘楼からの景色。
のどかな田園風景の中に、異世界への扉があります。
門の前にある広場では毎週土曜日の早朝、太極拳が行われているそうです。
西の「鼓楼」
鼓楼では、陰鼓の下で「陰」の力に打ち勝つ赤いロウソク「紅壽燭」を灯すと、順調と延寿を賜ると言われています。
また、ロウソクの紅色には「授かる」の意味があり、幸運・良縁を授かるそうです。
西の鼓楼は、東の鐘楼よりずっと静かな雰囲気。
鼓楼から、桃源郷のような「外苑」が見えました。
鳳凰の視線の先には、コスプレのお姉さんたち。
絶好の撮影スポットですね。
鼓楼から下りると、自動販売機がありました。
売られているのは、台湾の飲み物・食べ物、聖天宮オリジナルキーホルダーなど。
ちゃんとしたブロガーさんなら、ここで「食レポ」をするんですよね。
普段の節約癖が出てしまい、何も買えませんでした(ちょっと後悔)。
私たちの前に飲み物を買った女性二人は
『フタが固くて全然開かないよー。これが日本製との違い?』と言っていました。
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全てが本物「前殿」
中央にある「前殿」に入ると、天井の装飾に圧倒されました。
15年の歳月をかけて作られたと聞いた時は『そんなに掛かったの?』と思いましたが、これだけ緻密に作られた空間を見ると、たった15年で作ったことに驚きます。
ちょっとした壁にも絵が。
全てが本物です。
前殿から外に出ようとすると、扉から視線が。
すごい見てる……。
扉を閉めると、この像が外側に出ます。
この目で邪気を払うのでしょうか?
心の中まで見透かされそうです。
前殿を外から見て『うわー……』と、また固まる二人。
日光東照宮や沖縄の首里城など、昔の日本は中国文化から強く影響を受けていたのだと、改めて感じました。
300円で行ける台湾
門をくぐると、そこは想像をはるかに超えた異空間。
私たちは知りませんでしたが、聖天宮は雑誌などで紹介されているようです。
じゃらん・るるぶ・埼玉Walkerなど。(埼玉Walker!?)
カメラを持った若いカップル、おじさま達のグループ、そしてコスプレ集団。
皆さんそれぞれに「聖天宮」を楽しんでいらっしゃいました。
300円で台湾に行ってみませんか?
聖天宮
- 住所:埼玉県坂戸市塚越51-1
- 電話:049-281-1161
- 年中無休
- 拝観時間:10時~16時