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65歳の夫が後期高齢者。国民健康保険の妻が高額療養費制度を利用するときの節約方法とは

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病院と計算機

「夫は65歳になったから後期高齢者になったのよ」

この言葉から始まった知人の話は、FP2級の試験でも見かけない大変興味深いものでした。

65歳で後期高齢者医療制度の夫、61歳で国民健康保険の妻、夫婦2人世帯。

その妻が高額療養費制度を利用するときの節約法とは。

知人から聞いた話と公的医療保険について書いていきます。


目次 


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夫は65歳で後期高齢者、妻は国民健康保険


知人の話をまとめると次の通りです。

  • 夫は障害者手帳を持っている
  • 夫は65歳で後期高齢者医療制度、私(妻)は国民健康保険に加入
  • 私(妻)が高額療養費制度を利用する場合、夫は国民健康保険に戻った方がおトクだと役所で教わった


一度、後期高齢者医療制度に加入した人が国民健康保険に戻れるの?

妻が高額療養費制度を利用するときに夫も国民健康保険の方がおトクとは?
 

FPの試験を受けてから2年が経ち、記憶があやふやになっているところがあります。

公的医療保険と後期高齢者医療制度、高額療養費制度について確認しながら、知人の話を読み解いていきます。 

  

公的医療保険について


公的医療保険は大きく分けて3つ、被用者保険地域保険(国民健康保険)後期高齢者医療制度があります。

  被用者保険
(健康保険、共済組合等)
地域保険
(国民健康保険)
後期高齢者医療制度
被保険者
(加入対象者)
健康保険:会社員など
共済組合等:公務員など
自営業者など 75歳以上の人
(一定の場合は65歳以上)

 

後期高齢者医療制度について

高齢者

高齢者が安心できる適切な医療の確保を目的として「老人保健制度」にかわり、2008年(平成20年)4月「後期高齢者医療制度」が始まりました。 

これは75歳以上の人が加入する医療制度で、75歳の誕生日をむかえると、それまで加入していた被用者保険や国民健康保険から後期高齢者医療制度に移ります。

原則として申請(手続き)は必要はなく、誕生日と同時に自動的にそれまで加入していた健康保険などから脱退し、後期高齢者医療制度に加入となります。
 

後期高齢者医療制度のポイントを簡単にまとめました。

対象者 75歳以上の人、または65歳以上75歳未満の障害認定を受けた人
自己負担 医療費の1割、現役並み所得者は3割
保険料 都道府県によって異なり、原則として年金からの天引きで徴収される
運営 運営主体は各都道府県の後期高齢者医療広域連合(被保険者の資格管理、保険料の賦課、医療給付など)
保険料の徴収と窓口業務(各申請書の受付や保険証の交付など)は市区町村が行う

※生活保護受給者は後期高齢者医療制度の被保険者にはなりません(適用除外)。


参考:後期高齢者医療制度について|厚生労働省

 

障害と後期高齢者医療制度

障害者

「夫は65歳になったから後期高齢者になったのよ」

知人のご主人は 2年前に障害者手帳を取得したそうです。

後期高齢者医療制度では、申請により広域連合が一定の障害があると認めた 65歳以上75歳未満の人も被保険者(加入対象者)となります。

  • 75歳の誕生日をむかえて加入する人⇒申請の必要なし
  • 65歳から74歳で障害のある人が加入する場合⇒申請が必要

この制度に加入するのに申請が必要かどうかは知りませんでした。


ちなみに一定の障害とは、次の基準に該当する状態です。

  • 身体障害者手帳 1~3級 (平成22年4月から肝臓機能障害の方も身体障害者手帳交付の対象)
  • 身体障害者手帳 4級の一部(音声・言語、下肢障害1 ・3・4号)
  • 療育(愛護)手帳 A判定(1・2度)
  • 精神障害者保健福祉手帳 1・2級


参考:制度への加入について| 愛知県後期高齢者医療広域連合

 

後期高齢者医療制度からの脱退とは


一定の障害があると認定されて後期高齢者医療制度に加入した65歳から74歳の人は、いったん障害認定されたあとも、75歳になるまでは撤回届の提出により脱退することができます。

なお、撤回届の提出により、障害者手帳や障害年金受給資格等が無効になることはありません。


障害認定により後期高齢者医療制度に加入した人の脱退

  • 65~74歳⇒脱退できる
  • 75歳以上⇒脱退できない


「後期高齢者医療制度からの脱退」という選択肢があることに驚きました。


また、いったん障害認定されたあとで対象となる障害に該当しなくなった場合は、後期高齢者医療制度の資格喪失の届けが必要となるそうです。

お住まいの市区町村担当窓口にご相談ください。

参考:被保険者となる方|大阪府後期高齢者医療広域連合


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高額療養費制度について 


私が入院とかで高額療養費制度を使うときは、夫が後期高齢者医療制度から国民健康保険に戻ったほうがおトクだって役所で教わったの

知人の話に出てきた高額療養費制度。

どうして夫が国民健康保険に戻った方がおトクなのでしょうか。

 

高額療養費制度は、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合、その超えた金額を請求するとお金が戻ってくる制度です。


たとえば、40代の私が1ヶ月入院して医療費が100万円かかったとします。

国民健康保険に加入しているので医療費の自己負担は3割。

100万円の3割は30万円。大きな出費です。

高額療養費制度を利用すると高額療養費として212,570円が戻ってくるので、

実際の自己負担額は87,430円となります。

高額療養費制度を利用したときの例

出典:http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000167493.pdf


ひと月の上限額は年齢や所得によって異なります。

また、いくつかの条件を満たせば、さらに負担を軽くできる仕組みもあります(世帯合算、多数回該当)。 

<69歳以下の上限額>

高額療養費制度における69歳以下の上限額

<70歳以上の上限額(平成30年7月診療分まで)>

高額療養費制度における70歳以上の上限額(平成30年7月診療分まで)

<70歳以上の上限額(平成30年8月診療分から)>

高額療養費制度における70歳以上の上限額(平成30年8月診療分から)


参考:高額療養費制度を利用される皆さまへ |厚生労働省

 

高額療養費制度をさらにおトクに「世帯合算」

病院のベッド

私が高額療養費制度を利用する場合、夫は後期高齢者医療制度から国民健康保険に戻ったほうがおトク」 

知人が役所で教わったこの節約法は、高額療養費制度の「世帯合算」を利用します。


ひとり1回分の窓口負担では上限額を超えない場合でも、複数の受診や、同じ世帯にいる他の人の受診について、窓口でそれぞれ支払った自己負担額を1か月単位で合算することができます。

その合算額が上限額を超えたときは、超えた分を高額療養費として返金されます。

※69歳以下の人の受診については窓口で支払った自己負担額が21,000円以上のもののみ合算されます。 


「同じ世帯にいる他の人の自己負担額」を合算したい場合、気を付けなければいけないことがあります。

それは、同じ公的医療保険に加入している人だけ世帯合算できるということ。


知人夫婦(2人世帯)が現在加入している公的医療保険は

  • 夫:後期高齢者医療制度
  • 妻:国民健康保険 

ひとりづつ異なる公的医療保険に加入しているので、このままではおトクな「世帯合算」ができません。

65歳の夫は障害認定で後期高齢者医療制度に加入しているため、74歳までは脱退して国民健康保険に戻ることが可能です。

  • 夫:後期高齢者医療制度 ⇒ 国民健康保険
  • 妻:国民健康保険

妻が病気やケガで高い医療費を払うときは、夫が国民健康保険に戻って「世帯合算」した方が医療費を節約できます。 

 

高額療養費制度の注意点

カルテ

高額療養費制度を利用するときに注意することを簡単にまとめました。

  • この制度を利用するには自分で手続きをする必要がある。(問い合わせ先は保険証に書かれている保険協会の連絡先。国保は市区町村の担当窓口)
  • 手続きができるのは、診療を受けた月の翌月の初日から2年間。(時効は2年間
  • 高額療養費が支払われるには、受診した月から少なくとも3か月くらい時間がかかる。
  • 入院したときの「食事代」「差額ベッド代」、「先進医療にかかる費用」など対象外の医療費もある。(対象となるのは保険適用される診療に対し患者が支払った自己負担額)
  • 月をまたいで治療した場合は自己負担額の合算はできない
  • 事前に手続きをして「限度額適用認定証」を入手すると、最初の支払時から高額療養費制度が適用できるので、窓口での支払いを負担の上限額までに抑えられる。

 

まとめ 


「65歳で後期高齢者医療制度の夫、61歳で国民健康保険の妻の夫婦2人世帯」

知人が「高額療養費制度を利用するときにおトク」と役所で教わった方法は

  1. 後期高齢者医療制度の障害認定
  2. 高額療養費制度の世帯合算

この2つを利用した合わせ技一本の節約方法でした。


生活に密着したおトクな制度はたくさんありますが、知っていないと手続きもできず、制度が利用できないこともあります。

これからはFPで勉強したお金の知識を見直して、おトクな制度は逃さず活用していきたいと思います。 

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