熱中症予防のスポーツドリンクと飴。
どちらも歯を溶かすってご存知ですか?
「歯の状態が良くないですね。ジュースとかスポーツドリンクとか飲んでます?」
「熱中症にならないよう、こまめに水を飲んで 飴をなめていますが……」
「そうですか……酸で奥歯が少し溶けてますね 」
昨年、夏の終わりに歯の定期健診へ行ったとき、歯医者さんの一言にドキッとしました。
熱中症にならないよう気をつけていたら、歯が溶けるなんて。
知らないって恐ろしい。
今回は、歯医者さんに教わった「歯にやさしい熱中症対策」について書いていきます。
目次
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歯医者さん おすすめの熱中症対策
『歯のことを考えるなら、熱中症対策には 水 と 梅干し がいいですよ』
そう言って、歯医者さんに 飲食物の酸性度の図を渡されました。
(上の画像は酸性度の図を参考に私が作ったものです)
酸性・アルカリ性を示すpH(ペーハー)値は、数値が低いほど酸性度が強いです。
- pH5.5より数値が低い酸性の飲食物は 歯を溶かす
- 歯が溶けない飲み物は「水」「牛乳」「お茶」くらい
- 熱中症対策に「スポーツドリンク」をちびちび飲むのは 歯に悪い
- 「飴」は口の中にとどまっている時間が長いので 歯に悪さをし続ける
- 飲食したら15分以内に水で口をゆすぎ、30分後に歯みがき
酸性の飲食物などで歯が溶けてしまう 酸蝕歯(さんしょくし)は、虫歯、歯周病に次ぐ、第3の歯の疾患として最近問題になっているそうです。
症状は 知覚過敏、歯が黄ばむ、欠けるなど。
気付かないうちに症状が進み、昔の詰め物がいきなり取れてしまうこともあるようです。
私は奥歯が黄ばんでいました。
△私が昨年、熱中症対策でなめていた飴(一部画像を加工しています)
熱中症対策の飴は、ビタミンC・レモン・グレープフルーツ・梅などの酸が含まれているものが多く、口の中に酸が長くとどまり、歯を溶かし続けます。
私は 暑い時期ほぼ毎日なめていた飴で、歯が少しずつ溶けたようでした。
酸蝕歯について、いくつか歯科医のサイトを見つけました。
症状・自己チェック・対処法などが詳しく書かれています。
酸蝕歯の画像を含め、とても参考になりますよ。
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梅干しは酸性?アルカリ性?歯を溶かすの?
では、酸性のクエン酸が含まれる「梅干し」を、歯医者さんはなぜ熱中症対策にすすめたのでしょうか。
疑問に思い検索すると、歯医者さんによって梅干しへの考え方が異なるようです。
梅干しは歯にいい食品です。
梅干しは酸性ではなく、アルカリ性食品です。
口内で酸性からアルカリ性へと変化します。
梅干しはアルカリ性食品だから、体をアルカリ性に保ち、健康によいと思って食べている方が多くいます。
しかし、梅干しには、多くのクェン酸が含まれており、実際には強い酸性を示します。
強い酸性の梅干しが、口の中でアルカリ性になるって本当なのでしょうか。
そして、なぜ梅干しは「アルカリ性食品」なのでしょうか。
食品を「酸性食品」「アルカリ性食品」の2つに分け、健康に良いか悪いか判断するのは賛否両論ありますが、今回は置いておきます。
- アルカリ性食品:食品を燃やしたとき残った灰がアルカリ性のもの
- 酸性食品:食品を燃やしたとき残った灰が酸性のもの
梅干しはミネラルが豊富に含まれるため、アルカリ性食品に分類されます。
そうだとしても、クエン酸を含む酸性の梅干しが、口の中でアルカリ性に変化するのでしょうか。
さらに調べ、東京歯科大学水道橋病院のサイトにたどりつきました。
唾液は通常酸性から弱アルカリ性(個人差があります)で、左写真では酸性を示しています。
しかし酸味食品を食べて唾液が十分に分泌されると、唾液はアルカリ性へと傾いていきます。
酸味の正体は「酸」で、良く知られているように歯を溶かしてしまいます。
そこで酸っぱい食品を見ると条件反射によって唾液を十分に分泌させ、口の中をアルカリ性にする事で、酸によって歯が溶け出すのを防いでいる訳です。
梅干しが酸性からアルカリ性に変わるのではなく、唾液の分泌によって口の中がアルカリ性になるようです。
すっぱい梅干しを見る
↓
唾液がたくさん分泌される
↓
梅干しを食べる
↓
唾液がたくさん分泌される
↓
口の中がアルカリ性になる
クエン酸は歯を溶かすけれど、梅干しは唾液をたくさん分泌させるので「歯にいい食品」と言われるのでしょう。
干し梅でもいいの?
梅干しで口の中がアルカリ性になるのなら、持ち運びに便利な「干し梅」も熱中症対策に良いのでは?
そんなことを思っていると、「思わぬ落とし穴 干し梅酸蝕症!」という記事を見つけました。
人気も高く種類も豊富な干し梅。
歯の溝にべったりと入り込み、梅の強い酸がエナメル質を溶かして大きな穴を作ったり、もろくします。
干し梅も梅干しのように唾液を分泌させますが、水分が少ない干し梅は 歯にこびり付きやすく、酸が溝に入り込んで歯を溶かすそうです。
梅干しも口に長い時間入れたままにしないなど、食べ方に注意が必要だと感じました。
まとめ(歯にやさしい熱中症対策)
熱中症対策で飲食物をとるときは、酸で歯が溶けないよう気をつけましょう。
- 歯にやさしい熱中症対策は「水」と「梅干し」
- 飲食したら15分以内に水で口をゆすぎ、30分後に歯みがき
こまめな水分補給、ほどよい塩分補給は、熱中症対策の大切なポイントです。
歯も命もなくさないよう、水と梅干しを上手にとって元気にすごしましょう。
熱中症と水分・塩分補給については、熱中症ゼロへ - 日本気象協会推進「熱中症対策のポイントは、水分補給だけでなく塩分補給! 」をご参考ください。
かかりつけ医から水分や塩分の制限をされている場合は、よく相談の上、その指示に従いましょう。